身体の酸化

酸化の防止がキーワード

私たちは呼吸をすることで、大気の中から酸素を吸ってエネルギーを作り出しています。

酸素は体の中に溜めておくことが出来ませんので、絶え間なく呼吸をし続けなければなりません。

 

生きていくためには、酸素はかけがえのない大切なものなのです。


ところが、酸素は同時に、時として活性酸素という形に身を変えて私たちの身体に危害を及ぼす怖い面を持っています。

酸素は、人間をはじめとして地球上の物質を酸化させることで、時には破壊的なダメージを与えます。


それは、私たちの身体にも、まったく同じように酸化というダメージを与えることに変わりはありません。

それで、私たちの身体は酸素を取り入れなければ生きてはいけないし、酸素を吸えば酸化されてしまうという二律背反に陥ってしまうのです。


しかし、私たちは酸素を吸って生活していても、一見したところ別に大きな変化もなく、酸化されている気配など少しも感じられません。

酸素が私たちの身体にも様々な形で危害を与えていることが公式に議論されるようになったのは、ごく最近になって急速に理解が深まってきた分野なのです。


しかし、それ以前から備蓄の石油、プラスチック、食品など広い分野でこの酸化の問題は大きなテーマとなっていて、どうすれば酸化を防止できるか真剣に研究開発が行われてきました。

人間はもともと進化の過程で、酸化を防ぐ機能を備えてきましたので、改めて酸化を防止することを考える必要がなかったのかもしれません


しかし、研究が進むにつれて、私たちの身体も酸化という変化を受けていることが次第にはっきりしてきたのです。

それは、老化といった宿命的な現象も、癌の様ななぜ起こるかわからなかって病気も、動脈硬化といった血管の病気も、活性酸素が引き金を引いている可能性が大変高いと考えられるようになってきました。


酸素の毒性の問題は、老化だけでなく、その他にも免疫や炎症、老人性痴呆症、糖尿病、白内障など広い範囲でその関わり合いが議論されるようになってきました。

ですから、活性酸素やフリーラジカルといった言葉は、これから健康を考えていく上でのキーワードとなっているのです。

 

細胞の膜が酸化する

いったい、人間のどこが酸化をしているのでしょうか?

肌にできるシミぐらいならば感覚的に理解できますが、身体全体いたるところで、鉄が錆びるように酸化が起きているとなると常識の範囲ではちょっと理解に苦しむところです。


ところが、その酸化という現象は、私たちのほとんど気の付かないところで起きているのです。

具体的にいうと、私たちの身体を構成している脂肪酸やたんぱく質、体の機能を支えている酵素など、どこでもまわず酸化してしまうのです。

酸化されると、脂肪酸は過酸化脂質になりますし、タンパク質は変性してしまって役に立たなくなってしまいます。

そして、酵素は失効して機能しなくなってしまいます。


脂肪酸はエネルギーを作る燃料に使われていますが、それだけではありません。

脂肪酸は細胞を包んでいる細胞膜の主要な材料なのです。


そして核やミトコンドリアなどの細胞の中身ある小器官を包んでいる膜も同じ構造をしていて、この脂肪酸が素材となっています。

この脂肪酸が人間が酸化する標的で第一に狙われるところです。


ところで、この脂肪酸は、私たちの身近にある物質の中でも大変酸化されやすい性質を持っています。

酸化とは、例えば活性酸素に電子を取られてしまう事ですが、ミトコンドリアの内部や周辺ではエネルギーを作り出すために電子の引き抜きが盛んにおこなわれているところでもあります。

電子の引き合いが、四六時中起きているところに酸化されやすい脂肪酸でできた膜で作られている器官があるのですから、とても危険な取り合わせになっているといえます。


このように、酸化を促進するものと酸化されやすいものとが同居しているといった危険な関係にあるのですから、いくら酸化されないように防御システムが完備しているといっても、間違えば細胞の膜もミトコンドリアの膜もみな壊されてしまう事になりかねません。

まして、細胞の核の中には細胞の増殖を司るDNAという遺伝子があり、そのDNAに障害が起きて間違った遺伝子情報が作られれば、一個の細胞だけではなく被害は広範囲に広がります。

そのうえ始末の悪いことに、電子を引き抜かれた脂肪酸は、さらに隣の脂肪酸から電子を取ってきて不安定さを解消しようという性質がありますので連鎖的に破壊が広まります。


ですから、細胞は60兆個のあるからちょっとやそっとくらい破壊されたくらいでは何ともない、とはいっていられないのです。

それは、活性酸素の第一の被害者が、今度は加害者となって他の脂肪にも被害を及ぼし、さらに第二、第三の被害者と加害者を生み出していくという仕組みで被害拡大していくからです。

それが、いっけん何の脈絡もなさそうな様々な病気を引き起こす同一の犯人ではないだろうかという疑いが高まってきた理由なのです。


ですから、進化の過程で完備した酸化の防御システムを信頼するとともに、いっそうの強化を図るべきだという考えが当然出てきてもいいわけです。