ビタミン以外の抗酸化食品(2)

香辛料・生薬と酸化防止

ビタミンEやビタミンC、ベータカロチンにしても口から入れる酸化防止剤には植物由来のものが多いので、このほかにも植物を捜すと、新しい酸化防止剤が見つかるのではないか、という期待が感じられます。

生薬の中にもその可能性は多くありますし、身近なところで、香辛料にも酸化を防止する機能があることが分かっています。

香辛料は、元々肉類の腐敗を防ぐために用いられたものですから、肉類の脂肪酸の酸化を防止するのに一役買っているのではないか、ということは容易に想像できます。

実際に、豚肉の酸敗が香辛料を使うことで防止できることが証明されています。

香辛料としては、タイムとかグローブ、ローズマリー、セージといったものの精油の中から高い抗酸化力を示すものが見つかっています。

この「精油」は、ヨーロッパでは昔から薬や香料としてよく使われていて、中々歴史のあるものです。

これは、植物を高温の蒸気に当てて、その中に含まれる油を取り出したもので、エッセンシャル・オイルともいわれ、今でも珍重されています。

肉類をはじめ、食品の酸化防止剤として使うことがこれまでの香辛料の主な用途でしたが、人間の体の中でも抗酸化の作用があるようで、腫瘍を抑えた、といった研究も発表されていますが、人間とのかかわりあいの研究はまだこれからです。

ただ、香辛料は、食事の中での使用量が少ないので、日常の食生活で抗酸化力を維持するほど大量に食べることはできませんので、それなりの限界もあるでしょう。

 

香辛料とはちょっと違いますが、お茶にも抗酸化力があるといわれています。

お茶は、広く世界で飲まれている嗜好飲料ですが、このお茶の主要な成分としてカテキンという物質が含まれていて、このカテキンに酸化を防止する作用があります。

食用油の一部には、酸化を防止する目的でこのカテキンが使われていますが、人間の酸化防止にどのように役立つかは未知数です。

身近な食品であるだけに、期待は大きいといえます。

今後の研究、開発が待たれます。

ただ、お茶にも抗酸化力があるといっても、熱いお茶を頻繁に飲む人に肺がんが多発しやすいともいわれていますので、注意が必要です。

注いだお茶に指を入れても大丈夫なくらいの温度が、適温です。

 

植物の酸化防止機能

植物に含まれている抗酸化の成分の中で代表的なものを二つほど取り出して解説してみましょう。

 

まず、フラボノイドという興味深い成分があります。

このフラボノイドというのは、様々な形をした種類があるのですが、化学構造ではみな共通する骨組みを持っているものの総称で、天然色素はこのフラボノイドが主役になっています。

多くは黄色ですが、バラやアサガオ、チューリップの花の色や、ブドウやナスなどの実の色素は、このフラボノイドが含まれています。

このフラボノイドには、ビタミンEと同じように活性酸素を消去する作用があって、消去するとフラボノイド・ラジカルになります。

そして、ビタミンCによって還元され、再び活性酸素を賞与する力を取り戻すのです。

植物には、ビタミンCも豊富に含まれていますから、植物も人間と同じようなやり方で活性酸素を消去しているわけです。

 

もう一つ、タンニンを紹介しておきましょう。

タンニンは、各種のお茶に含まれるよく知られている物質ですが、フラボノイドと同じように、ビタミンCの酸化を抑えているのではないかと考えられています。

一般にビタミンCは、熱や空気に弱く、簡単に分解してしまったり、酸化してしまったりしますが、自然界にある野菜や果物の中のビタミンCは、それほど不安定ではありません。

これは、自然界の野菜や果物にタンニンが含まれているためだろうといわけです。

このように、植物は、酸素に対して複数の酸化防止剤で安定化を図っているということがいえます。

 

植物性の油

食品の中でも興味を引くのは、植物性の油です。

植物性の油は、不飽和脂肪酸をたくさん含んでいる酸化しやすい油です。

植物は、さんさんと太陽の光線にあたり、紫外線をふんだんに受けているのですから、植物に含まれている油が酸化しても当たり前なのですが、少なくとも植物が生命を維持している間は、酸化されてしまったという例はありません。

ですから、植物には酸化されにくいための仕掛けが出来ているはずです。

ビタミンEやビタミンC、ベータカロチンはいずれも植物から取り出したものですから、当然植物の酸化防止にも役立っているわけで、我々もその恩恵を受けてきました。

しかし、人間も酵素やたんぱく質を含め多種多様な酸化防止剤を備えていて、さんさんと注ぐ太陽の光線から身を守っているはずです。

植物油の中でも、ごま油は多量の不飽和脂肪酸を含んでいるにもかかわらず、たとえば、天ぷら油として繰り返し使っても、大豆油と比較して酸化しにくいことが知られています。

したがって、ごま油には、強力な酸化防止システムが働いていることが想像されます。

ある研究では、これはセサミノールという物質が多く寄与していると考えられており、人間との体の中でもこのセサミノールは抗酸化に役立つ可能性が高いのではないかといわれています。

しかも、これも単一のものが頑張っているのではなく、いくつかの物質が複合して酸化防止のシステムを作っているようで、植物もその種を保存するのに、酸素からどう守るか進化の歴史の中で様々な改良がおこなわれてきたことが分かります。

人間の酸化防止にも役立つものが、今後の研究でこれらの中から開発されることを期待したいと思います。