活性酸素を防ぐ(2)

ビタミンEとビタミンC

ビタミンEは大変微量な栄養素で、人間の場合、めったなことではビタミンE欠乏症は現れませんが、微量な栄養素なので体中に多発する活性酸素やフリーラジカルの攻撃を防ぎきれるものではありません。

 

ところが、自然は実に巧妙な手立てを講じたのです。

それは、ビタミンCを利用してビタミンEを再生しているのです。

 

電子を一つ差し出して休眠状態になったビタミンEラジカルに、ビタミンCが自分の電子を渡すことによって、元の元気なビタミンEに再生しているのです。

ビタミンCは水に溶けるビタミンですから、細胞や細胞内のミトコンドリアの外側や内側の水の層の部分に存在していて、生体膜の中にいる電子不足のビタミンEラジカルを見つけてはせっせと電子を渡してビタミンEを再生させるという連係プレーを行っているのです。

そして、電子を渡して休眠状態になったビタミンCラジカルには、還元型のグルタチオンという酵素が、またビタミンCラジカルに電子を渡してビタミンCに再生します。

つまり、それぞれが電子をグルグル回して調達して、常にビタミンEが活性酸素を消去できる状態に保っているのです。

ですから、ビタミンEだけではなく、ビタミンCもペアーで取っておくことが活性酸素やフリーラジカルに対抗する賢明な手段というわけです。

 

ビタミンCは、このようにビタミンEと共同戦線を張っているのですが、それだけではなく、単独でもフリーラジカルを消去する酸化防止の役割も果たしています。

魚などの焼け焦げで有名になった発がん作用のあるニトロソアミンという物質を消去することにも、ビタミンCは効果のあることが知られています。

 

このように、ビタミンEと不飽和脂肪酸には深い関係があって、それを裏付けるように、不飽和脂肪酸を多く食べると、酸化防止にビタミンEが調達されるために、ビタミンEは血液中で減少するという傾向にあります。

活性酸素の存在を発見するきっかけとなった未熟児網膜所の場合でも、未熟児にはビタミンEが欠乏気味で、脂肪の吸収の悪い人ではやはりビタミンEが少ないといった傾向があります。

また、ビタミンEが欠乏している人では、老化色素(リポフスチン)の蓄積が増加するという現象もみられます。

このようにビタミンEが酸化防止に大いに活躍していることが分かると思います。

 

限られた材料を巧みに使う

人間の身体にはきわどいせめぎあいの構造になっていることが色々あります。

例えば、消化器官もその代表的な器官です。

食物は胃の中で強烈な酸で殺菌されたり、腸を通過しながら消化液や消化酵素で細かく分解されたりしていきます。

ですから、食物を分解する消化液や消化酵素は、胃酸や腸壁も消化してしてしまいそうですが、そうなっては大変ですから粘膜などで消化されないように防御態勢がひかれています。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、こうした防御態勢が突破された現象なのです。

ミトコンドリアを囲む生体膜と、酵素による酸化というせめぎあいも、胃や腸が自分を消化してしまわないように粘膜が防御態勢を敷いているのと同じように、SODをはじめ、ビタミンEやビタミンCが防御態勢を敷いていると考えるとよく理解できます。

胃潰瘍のように防御態勢が突破されることは、この細胞膜や生体膜でも当然起こることで、ただ痛みを感じないだけに警報が届きにくいので、常日頃から防御態勢を点検して強化を図っておかなければなりません。

このように、人間の身体は、適切な性質を持った材料を使いながら、一方では弱点を補うという巧妙なシステムと作り上げているのです。

 

ベータカロチン

最近、脚光の当たってきた抗酸化物質の一つとして、ベータカロチンがあります。

これは、ビタミンAの前駆体(ビタミンAが体の中で不足するとビタミンAに転換する)といわれるものですが、抗酸化物質としてはビタミンAというよりもベータカロチン自身が働いています。

ビタミンAは脂に溶けるビタミンですが、このベータカロチンも同様で、生体膜やLDLコレステロールの中にあって活動しています。

ビタミンEが生体膜の表面近くで働いているのに対し、ベータカロチンは生体膜の深いところで働いているのではないかと考えられています。

ベータカロチンは、ニンジンやホウレン草などの緑黄色野菜に多く含まれていることから、緑黄色野菜を積極的に食べようという機運が出てきました。

特に、ベータカロチンを十分食べている人たちは癌にかかりにくいことがヨーロッパやアメリカの疫学調査で分かってきましたので、先進国では緑黄色野菜に期待が込められるようになりました。

元々植物は、太陽光線をまともに、しかも一日中受けることで成長しますので、そこで起きる紫外線による活性酸素の攻撃から守るために、こうした抗酸化物質が植物の中に豊富にあるのではないかという説もあるのです。

しかし、緑黄色野菜の理想とされている量は、一日に100~200グラムと言われていますので相当の量です。

人参が1本で200グラムですから、これを毎日食べるのはなかなか努力のいることです。

 

尿酸もセレンも抗酸化物質

尿酸値が高い、と言われてどっきりされた方もいらっしゃると思います。

痛風になる可能性が高いという意味だからです。

 

ところが、この尿酸は抗酸化物質なのです。

脂肪酸の酸化を防いだり、活性酸素の消去にあたったり、大切な役割を持っているのです。

よく噛んで食事をする人とそうでない人を比べると、よく噛んで食事をする人の方が、癌の発生率が低いという研究もあります。

よく噛むと唾液が出て、その中にある尿酸が多く分泌される結果だと考えられています。

この尿酸も、活性酸素やフリーラジカルに電子を渡してやると、尿酸ラジカルになるのですが、ラジカルになったとたんにビタミンCから電子をもらって元の尿酸に戻るといった経緯をたどるのはビタミンEと同じです。

 

「セレン」という微量ミネラルがあります。

過剰に摂取すると強い副作用がありますが、これも酸化の防止に関係のあるミネラルです。

セレンの含有量が少ない土地に住んでいる人たちはがんの発生率が高い、という調査がありますが、日本ではそうした場所はありませんし、セレンはごく微量で十分にその役割を果たしていますので、あらためて摂取する必要はありません。

ただ、加工食品を多くとるようなライフスタイルの食事をしている方は、セレンに限らず、こうした微量ミネラルが不足気味になることがあります。

加工食品は、製造の過程で微量ミネラルをマイナスに要因として除去することが多いからです。

微量ミネラルは野菜や魚などに多く含まれていますので、加工食品だけでなく野菜や魚などを背局的に食べるようにしましょう。