活性酸素(2)

フリーラジカル

酸化は、必ずしも酸素がなくても起こります。

酸素以外の分子でも、ふつうは原子核の周りをまわっている電子は2個で対になっていますが、電子が対にならず、一つだけの不対電子を持っているものを総称して「フリーラジカル」といいます。

 

この「フリーラジカル」が酸化を引き起こす物質になります。

 

「ラジカル」そうです「過激派」です。

蓋遺伝子という不安定用要因を持っていますから、過激であたりかまわず近くの分子から電子を奪い取ってきて、その分子を酸化させることで、自分は安定しようとする悪さをします。

そして、電子を奪われて酸化した方にも、つて遺伝子が出来ますから、またその周辺から電子を引き抜くといったように、次から次へと連鎖的にとめどなく酸化を仕掛けることになります。

活性酸素も、このフリーラジカルの一種です。

ただ、不対電子を持つ物質は、それほどあちこちに転がっているものではありませんが、活性酸素の他には、クルマの排気ガスに含まれる一酸化窒素とか、過酸化脂質、オゾンといったものがあります。

この地球上では、原子や分子の密度が高く、不対電子が出来るとすぐに電子が入ってきて安定化してしまいます。

ですから、原子や分子の密度が低い宇宙空間では、こうした不対電子を持った物質がうようよしているといった状況になっています。

 

酸素O₂、分子になっている酸素ですが、不対電子の軌道が一つずつあって、二つの酸素原子がペアーを組むことで安定しているのですが、一見安定しているかに見える不対電子の軌道に、他から電子を一個ポイっと取ってきて入れたらどうなるでしょうか?

電子を取ってきたほうの軌道は不対電子の状態が解消されますので安定しますが、納まらないのはもう一つの方の不対電子の軌道です。

こちらもどこからか電子を撮ってこないと安定できなくなってしまいますから、そこで電子探しを始めることになります。

これが活性酸素の正体なのです。

 

このように、一方が不対電子になっている状態の活性酸素のことを「スーパーオキシド」といいます。

活性酸素の中では、一番ポピュラーなものです。

 

もう一つあります。

ペアーを作っている不対電子のどちらかの電子が、もう一方の不対電子の軌道に入ってしまったらどうなるでしょうか?

当然、新しいペアーに取り残された不対電子の軌道に入ってしまったらどうなるでしょうか?

当然、新しいペアーに取り残された不対電子の軌道が一つがら空きになってしまいます。

これも活性酸素です。

これは、「一重項酸素」と言って、非常に反応性に富んだ攻撃的な活性酸素です。

紫外線によって皮下組織ではよく発生します。

 

このように、「スーパーオキシド」と「一重項酸素」の二つの活性酸素をご紹介しましたが、活性酸素にはこのほかにも二つ、「過酸化水素」と「ヒドロキシラジカル」の、全部で四つの種類があります。

 

オキシフルも活性酸素

オキシフルという殺菌剤がありますが、これが過酸化水素で、活性酸素なのです。

酸素原子二個と水素原子二個からできています。

過酸化水素は、一応、不対電子の軌道はないのですが、ちょっとしたきっかけがあればすぐに不対電子の軌道が出来てしまうという、とても不安定な状態にある物質です。

そのために活性酸素の仲間に入れられています。

 

体の中で、殺虫剤にも使われているような殺菌力の強い(毒性の強い)ものが、出来たり消えたりしているのですからびっくりしてしまいますが、体の中では、比較的ポピュラーな活性酸素です。

 

ところで、過酸化水素は、活性酸素としての毒性を使って殺菌しているのです。

人間にとっては消毒剤として使うのは安全ですが、最近にとってはこの活性酸素を防衛する機能を持っていませんので、たちまち殺菌されて消毒されるというわけです。

面白いことに、体の中に侵入してきた細菌は、白血球の作り出す活性酸素で殺されるのです。

ですから、活性酸素は、あまり悪者扱いにばかり出来ない一面もあるのです。

化膿すると周囲が赤く炎症を起こし腫れますが、これは白血球のまき散らした活性酸素で周辺の異常な細胞組織が壊された結果なのです。

反対に、慢性肉芽腫症という遺伝病がありますが、これはその人の白血球が活性酸素を作ることが出来ないためにおこる病気で、生後数か月たったころから細菌の感染に絶えず悩まされるという難病があります。

このように、活性酸素は、私たちの身体をむしばむのと同時に、細菌を殺すという重要な役割も持っているのです。

 

四番目の活性酸素として「ヒドロキシラジカル」をご紹介しておきます。

これはちょうど、過酸化水素の片割れのような形をした、酸素一分子と水素一分子からできている大変反応性に富んだ性質を持っていて、過酸化水素が金属イオンと反応した時にできる活性酸素です。

これらの「スーパーオキシド」「一重項酸素」「過酸化水素」「ヒドロキシラジカル」の四つが活性酸素といわれています。

 

活性酸素は百万分の一秒といった短い時間しか存在しません。

電撃的に出来ては消え、消えては出来るという代物です。

したがって、活性酸素が体の中に蓄積することはありませんが、他の物質を瞬間的に攻撃することとなるわけです。

ですから正確に活性酸素がこのくらいあるのか捉えることはできませんが、正常な酸素に対して、三パーセントぐらいと表現している研究者もいます。

しかし、活性酸素の存在時間がこのように短いために、劇的な障害が起きにくいとも言えます。

むしろ、老化とか癌といったように、長い時間の中で徐々に障害が進行していく、というのが活性酸素を引き金とした障害の特徴かもしれません。