活性酸素と食事(1)

活性酸素を防ぐバランスの取れた食事

活性酸素を防ぐことが老化や成人病から身を護る大きな要因です。

それでは、活性酸素からの攻撃を撃退するにはどうすればいいのでしょうか?

 

抗酸化物質としてビタミンなどを薬として、あるいは補助食品として積極的に摂ることで酸化防止機能を高めることが出来ますが、抗酸化物質はビタミンだけでなく、酵素やたんぱく質など多くの種類があります。

数ある抗酸化物質は体の中で作られているものが多いので、薬や補助食品として飲むわけにはいかないものが大部分です。

これらは当然、食事から補給される栄養素を材料として体の中で作られるのですから、必要な栄養素を万遍なくとる工夫をすることで対応できるはずです。

 

もう一つは、活性酸素の攻撃対象となるものを、体の中で増やしてはいけないということも大原則になります。

その代表的なものは、不飽和脂肪酸です。

そして、タンパク質も活性酸素による酸化の対象となりますから、不必要な栄養をため込むことは慎ましくしなければなりません。

これは、方や十分な栄養を、方や栄養は控えめに、という一見矛盾したように思われるかもしれませんが、この矛盾を解決するには、どちらにも偏らない「バランスの取れた食事をする」という、ごく当たり前の結論にたどり着きます。

 

しかし、ただ漠然とバランスの取れた食事をするのと、活性酸素の知識を十分活用したうえで、バランスの取れた食事をするのとではずいぶん違ったイメージになるのではないでしょうか?

ところが残念なことに、まだ活性酸素対策用の栄養バランスなどというメニューはどこにも開発されていないのです。

ですからこれまでに分かっていることを参考にして、どうすればバランスのいい食事が出来るかを考えてみましょう。

 

完成度の高いバランスの取れた食事

栄養のバランスを徹底的に考えた食事の体系が一つあります。

それは、「糖尿病食」という食事体系です。

 

糖尿病のうち、普通成人になると発病するインシュリン依存型と言われている糖尿病の治療には、この食事療法がすべてと言っても過言ではありません。

このインシュリン非依存型の糖尿病は、遺伝的な要因も見逃せませんが、主に過食によって起こります。

運動などで消費されるエネルギーがあまり大きくないのに、食事を通して得られるエネルギーが多くて、アンバランスになって起きるのです。

これを正常な状態に戻してあげるというのが基本的な考え方になります。

 

この糖尿病食は、ます食品を大きく6つに分類します。

 

第一グループは、穀物、イモ類、糖質の多い野菜と種実、大豆を除く豆類です。

第二グループは果物です。

この二つのグループは、主に糖類を含む食品で、ブドウ糖など体を動かしたり、脳のエネルギーに必要な燃料となる栄養素です。

 

第三グループは、魚介、肉、卵、チーズ、大豆とその製品です。

第四グループは、牛乳と乳製品(チーズは除く)です。

第三、第四グループは、主にたんぱく質を含む食品で、身体を作り、維持するためには欠かせません。

 

第五グループは、油脂、多脂性食品です。

主に脂肪を含む食品で、生体膜の重要な材料でもあり、燃料でもあり、少量で高いカロリーが取れるとか、食事を美味しくするといった特徴があります。

 

第六グループは、野菜、海草、キノコ類、こんにゃくで、ビタミン・ミネラル、食物繊維を含む食品です。

身体を円圧にするためには大切な食品群です。

 

このように六つに分類したのには重要な意味があります。

簡単に言えば「この分類ごとに決められた量だけ食べる」という事なのです。

ということは、例えば第一グループの中の食品であれば、ご飯でもパンでもどれを選んでもいいですが、第一グループにある食品はどれも嫌いだから食べない、ということはいけないという事です。

あるいは、肉が好きだから第三グループをたくさん食べて、その代わりその他は控えめにして全体のカロリーを合わせるということもいけません。

六つのグループの中からそれぞれ決められた量だけ食べるというのが糖尿病のしくじ療法なのです。

 

この内容の詳細は「糖尿病食事療法のための市区品交換表」(日本糖尿病学会編・日本糖尿病協会・文光堂発行)という本にまとめられています。

糖尿病の方も、そして糖尿病予備軍の方も必携の本です。

また、糖尿病でもその予備軍でなくても、食事を通した健康に関心のある方は是非一読されるとよいでしょう。

 

バランスの取れた食事について

糖尿病でもない人に食事療法のお話をしてしまいましたが、実は現在、一応完成された「バランスの取れた食事」とは、この糖尿病食が一番確かな食事体系なのです。

ですから、活性酸素のを防ぐためのバランスの取れた食事もこの食事体系を出発点にすることが近道ですし、癌を予防するための12箇条の「バランスの取れた食事をする」も同じことなのです。

この食事体系の基本にあるものは、様々な栄養素を過不足なくとるという事です。

バランスの取れた食事とは、カロリーの収支、すなわち運ドンなどの支出と、食事などによる収入とを過不足の無い残高0にすることを前提に、各栄養素も多すぎず少なすぎずぴったりと合わせなければいけないという事です。

それは全体のカロリーが決められていますので、どれかの栄養素が多くとられると他の栄養素が不足してしまうということになりますから、このように食品を六つに分けて、偏らないように工夫をしたわけです。